若手優秀講演フェロー賞(北海道大学 田代 直也氏)
北海道大学
田代 直也
この度,日本機械学会2025年度年次大会にて発表いたしました「回折スケール格子ピッチ偏差計測向け小型光学ヘッドの開発と特性評価」に対し,若手優秀講演フェロー賞をいただき大変光栄に存じます.本研究を遂行するにあたり,ご指導とご鞭撻を賜りました北海道大学 清水 裕樹 教授や研究室の先輩方・同期メンバーをはじめ,ご協力いただきました皆様に対してこの場をお借りして深く感謝申し上げます.
本研究では,超精密位置決めに使用される直線センサの一種である光学式リニアエンコーダの校正のための小型光学ヘッドの開発を行いました.リニアエンコーダはスケールに刻まれた数µmの微細なラインパターンを読み取ることによって変位を検出しますが,精密な変位検出のためには,ラインパターンのピッチの正確性が重要です.そのため,スケールの校正ではラインパターンピッチの公称値からのずれである「ピッチ偏差」を検出することが肝要となります.従来の校正手法では装置が大型かつ厳密な環境管理が必要であり,その使用はエンコーダメーカーや国家計量機関に限られてきました.一方で,エンコーダに使用されるスケールは経年変化をすることから装置へ据え置いた後も定期的な校正の必要性が指摘されており,先行研究においては厳密な環境管理が不要な新たな校正手法が提案されました.私の研究では本手法の更なる現場実 装を見据え,当該手法を利用した小型光学ヘッドを60 mm×35 mm×35 mmの大きさで開発しました.
受賞対象となった発表においては,開発した光学ヘッドを組み込んだ実験システムを構築し,スケールに対して幅5 mm程度の範囲で測定を行った結果を報告しました.小型化に伴うアライメント精度低下により分解能や安定性の悪化が懸念されていたものの,光路の大幅な短縮などにより,ピッチ偏差測定において0.006 nm以内の高い測定繰り返し性が確認されました.
来年度も修士課程の学生として,引き続き生産工学・加工学をはじめ機械工学全体に資する精密計測技術の研究に尽力して参る所存です.引き続きのご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げますとともに,日本機械学会IIP部門の益々の発展を祈念し,御礼のご挨拶とさせていただきます.

